雲南省概要
中国西南の果て、南はラオス、東はミャンマーと国境を接する雲南省は、亜熱帯気候の恵まれた気候風土と、そこに住む少数民族の人々の明るく素直な人柄とによって、世の旅する人の心を刺激するだけでなく、日本人にとっては、人種的ルーツの発生地ではないかという学問的見地からも大きな興味が持たれている。事実、雲南の各地を旅行していると生活・風習・人相から言葉に至るまで、あまりに日本人と似ていることがあるのに少なからず驚かされる。
雲南省の面積は38万ku、人口が3885万。漢族、イ族、ペー族、ナシ族、ハニ族、タイ族など26の民族があり、中国で民族が一番多いところである。山地が多く、全省面積の84%を占めている。照葉樹林と
言われる常緑樹のシイ・カシ林に生まれる照葉樹林文化が少数民族の暮らしの中に認められる。もちを食する点や、漆器を用いる点、納豆やコンニャクといった食べ物も見られ、日本の照葉樹林文化とのつながりが指摘されている。
気候は亜熱帯──熱帯高原湿気気候に属する雲南省は、横断山脈と無量山脈の頂きを境に東西には全く異なる動植物が棲息しておりまた標高により亜熱帯性気候、熱帯性気候、寒帯性気候などあらゆる気候が存在し、品種多数の動物、植物の成長、繁殖に優遇な条件を提供した。植物が約15000種、動物が約250種、鳥類が766種も生息しているから、雲南省は「動植物王国」と呼ばれている。北には、高さ6740mの梅林雪山があり、南には熱帯雨林に属するシーサンパンナが存在する。
雲南省は日本人のルーツ、少数民族の宝庫、「動物の王国」「植物の王国」「非鉄金属の王国」など、様々な観点から取り上げらる事が多いいため、中国では比較的名の知られた省になっている。そんなイメージのために、秘境、辺境として取り扱われがちだが、1999年の花博、最近の西部大開発によって大きく変貌した。また、貧困県の一つであったが、ここ数年来観光に力を入れ、少しずつ豊かになり始めている。他省と比べると、山がちな地形のため、交通の便に問題があったが、遠隔地とは飛行機が結ばれ、近隣とは高速道路が繋がり、道路が整備され便利になった。また、ベトナム・ラオス・ミャンマー・タイとの国際線も開け、中国人観光客の出境地としても注目されている。
旅行をする際も、中国唯一すべての地方が開放地になり、手続き上も非常に便利になった。観光地も豊富にあり、古くからの観光地としては奇怪な岩峰群のある石林、シーサンパンナ(西双版納)と呼ばれる南部、大理国で有名な大理、1997年に世界遺産になった麗江、2002年には香格里拉(シャングリラ)と改名した中甸、ラサに行かずとも標高3300mほどで体験できるチベット風情、シャクナゲを代表とする花、雪山等の自然がみどころだ。その他、雲南省の最高峰としてもチベット族の聖山としても名高い梅里雪山を擁する徳欽、多くの火山を持ちミャンマーの国境沿いに位置する騰衝、棚田が織りなす牧歌的な風景が美しい元陽が注目されている。またベトナム・ラオス・ミャンマーへと陸路で国境越えをするのも面白い。日本にない陸の国境を体験することが出来る。ラオスへは長距離バスも走るようになり、アジアハイウエーの構想も進んでいる。またタイ・ラオスへはメコン河を船で下ることも可能になった。
アジアの大河長江(金沙江)、メコン(瀾滄江)、サルウイン(怒江)が流れ、25の少数民族を抱える雲南省。まだまだ隠れた観光地は多い。さあ雲南へ。
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